今回は、 遺言書を書こうと思ったときに、初めて考える点を考えてみましょう。
まず、あなたが病院で入院中の場合では、あなたの心境はそれぞれケースにより違いますね。少々のけがでリハビリも順調な場合には、それほど遺言書を書こうとは考えないでしょう。特に、来週から職場復帰だという場合です。逆に、癌手術で、お医者さんから余命2週間とか宣告された場合はいかがでしょう。頭がパニックになってとても遺言書を書く心境ではありません。つまり、ある程度心にゆとりと安定がないと、このようなものを書こうという気が起きません。遺言書作成はここを事前に把握されることをお勧めします。冷静に自分の存在が消えた後のことを考えられなければ、遺言書を書く心の準備ができていないため、遺言書など無視するか、激しく拒絶するかです。このような方が多くいらっしゃいます。しかしこれは、あなたの生き方の問題だ、などと冷たく突き放すようなことは通用しません。なぜなら、あなたもある意味社会の被害者なのですから。
現在、高齢者の方は、「健やかな老後」を自己責任で演出しろ、との社会的脅迫の中で生きています。高齢者の方はとにかく、自己責任で健康管理を押し付けられます。若い、元気だ、このようでないと何か世間に申し訳ないような雰囲気を感じませんか?昔は、老人病といい、つい最近までは成人病といったものが、現在では(生活習慣病)と表現を変えてきています。なにか病気になってすいませんとわびないとならない雰囲気があります。健康の自己管理という脅迫がどんどん強まってきたようですが、いかがでしょうか?加齢に伴う機能障害を病気にすり変えられているような気がします。加齢による機能障害と病気とは必ずしも一致しません。
生老病死は自然の摂理です。私は60歳になったら遺言書を作成することをお勧めします。最初の遺言書の作成は、60歳でお書きいただきたいのです。大分ゆとりのあるうちにということです。
遺言書で子どもに某銀行の預金をあげると書いたら、その預金は下せない? 実はこのように思っている方は結構いらっしゃいます。しかし、こんなことはありません。遺言書であなたに預金をあげると書いてその日のうちにその預金を自分でおろして全部使っても誰からも何にも言われませんので、ご安心ください。不動産も同じです。遺言書で某氏に不動産をあげると書いて、その日に書いた不動産を売却してそのお金をあなたが全部使ってもあなたの不動産であれば、某氏はもちろんですが誰からもクレームがきません。遺言書の効力は書いたあなたが死亡したときに発生しますので、それ以前に使ってしまって死亡時に無ければ、無いだけのことにすぎません。したがって、一度遺言書に自分の財産処分を書いてしまえばそれ以降たとえ自分のものでも処分できない、というのは真っ赤なウソです。ご心配なく。ここのところが、まさかいまさらいい年をして聞くわけにもいかず悶々と悩んでいる方が実は大勢いらっしゃいます。
また、逆に親の遺言書が出てきたが、相続すべき財産がゼロなのに、遺言書に私が死んだら愛人に1000万円上げると書いてあったら、相続人はどうすればいいのでしょうか?愛人に親に代わって1000万円をあげる義務がありますか?結論は、あげる義務はありません。残った財産がゼロですから。相続時点での財産の処分になりますので、この様になります。これは、お若いお子様は参考にしてください。その変わり、遺言書作成者が死ぬ前に残した借金はたとえ遺言書にその明細がなくても全部相続人が相続することになります。この点は十分ご注意ください。これは親が保証人になっていて、相続人が親の保証責任を問われる場合も同じです。ですから、親が死んだら借金がどこにどれくらいあるのかを調べることが大切です。
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